前回は姿勢と肩関節のインピンジメント症候群についての関係を説明しました。
特に問題になる姿勢は「猫背(円背)」になります。
前回読み忘れた方はこちらから
さて、今回は予告通り「スキャプラプレーンの意識」について説明いたします。
私の考えるインピンジメント症候群の予防に大切な要素3つ
・姿勢
・スキャプラプレーンの意識
・アウターマッスル、インナーマッスルのバランス
になりますが、今回のスキャプラプレーンが一番説明が難しいところになります。
《スキャプラプレーンって何?》
スキャプラプレーンとは、日本語に訳すと「肩甲骨平面」になります。
肩甲骨は肋骨にへばりついている骨という特徴から、真横に付いている訳江では無く肋骨の湾曲に合わせて角度を持ってへばりついています。
大体ですが、ニュートラルな姿勢で「前額面」に対して「35度」の角度で肋骨にへばりついています。
前額面とは身体を前後に切断するような面の事です。
この前額面に対して肩甲骨の延長線が作る面の事を「スキャプラプレーン(肩甲骨平面)」と言います。
めちゃくちゃ分かりやすいイラストをネットで見つけました⇩
すなわち、ニュートラルな姿勢ならおおよそ前額面に対して35度の角度を持つ平面になりますが…
ニュートラルでない姿勢…例えば「猫背」のような不良姿勢ならばニュートラルな姿勢より「鋭角」な肩甲骨平面になる可能性があります。
これは何故かと言うと
肋骨の形状によって肩甲骨の向く角度が変わるからなんです。
つまり、スキャプラプレーンの角度は身体の動きによって変化しますし、変化しなくてはいけません。
《スキャプラプレーンの上を腕が動くなら安全》
実はインピンジメント症候群はスキャプラプレーン上で腕が動くなら発生しにくいのです。
理由はスキャプラプレーン上で腕が動く場合では、インピンジメント(衝突)が起こりやすい烏口肩峰靭帯が作るトンネルの一番高い部分を上腕骨(大結節)が通るので衝突が起こり難いのです。
この部分は文字とイラストだけでは分かり難いので動画を作成していますので、以下を参考にして下さい。

バンザイする時もスキャプラプレーン上で動かすならば安全なのですが、割と多くの人が真横に腕を挙げてバンザイしてしまいます。
真横とは前額面と相当するのですが、前額面でのバンザイ(外転)では烏口肩峰靭帯が作るトンネルの低い部分を上腕骨の大結節が通る為にインピンジメント(衝突)の可能性が高くなります。
バンザイする時に真横に腕を挙げる人が結構多いと思いますが
それは危険な動きなので要注意です!
《肩甲骨平面でなるべく腕を動かす意識を持つ》
この肩甲平面上で腕を動かせればインピンジメントだけではなく、その他の肩関節(肩甲上腕関節)のトラブルは起こりにくくなります。
逆に言うと…肩甲骨平面と上腕骨の動く方向の違いが大きくなればなるほどにトラブルのリスクは高まります。
先程も説明しましたように、肩甲骨の角度は身体の動きによって本来は変化します。
本来はと前置きをしたのは「胸郭(肋骨、胸骨、胸椎)」の動きが悪い人は変化しにくいからです。
肩甲骨は肋骨の上にへばりつくような状態なので、肩甲骨平面の角度を変えるには肋骨の形状を変化させる必要が出てきます。
具体的には肩甲骨平面の角度をより前額面に対して鋭角にしたいならば、胸郭を少し丸めるような動きが必要になります。
その逆に肩甲骨平面の角度をより前額面に近い鈍角にしたいならば、胸郭を少し反らすような動きをする必要があります。
と言う事は、胸郭が動かない事には肩甲骨の角度を変える事が上手くできず、上腕骨の動きとマッチしない為にインピンジメント症候群だけでなく、肩関節の障害リスクが抜群に高まります。
つまりは「体幹」のコントロールが大切だと言う事になります。
スキャプラプレーンについて過去に作った動画も以下にシェアしておきます。

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