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「施術が“長持ちする人”には、脳の中にある共通点がある」

「施術が“長持ちする人”には、脳の中にある共通点がある」

こんにちは、奥川です。

突然ですが、私は普段お客様に対して「もっと通った方がいいですよ」とか「こうした方がいいですよ」といった通院頻度の提案をあまりしていません。

 

特に、毎回着実に状態が良くなっている方に対しては、ほとんど口出しすることはありません。
実際、整体施術だけでも来院のたびにどんどん調子が良くなっている方がたくさんいらっしゃいます。

 

たとえば、下の動画で紹介している女性(ご本人の許可をいただいて掲載しています)は、元々はO脚整体コースで通っていましたが、O脚が改善したので現在は整体施術のみで通われていますが、来るたびに動きが改善しています。

また男性のお客様の中にも、同じく施術だけで症状がすっかり改善し、今は「さらに良くなるため」に通ってくださってる方がたくさんいます。


こういった方には、回数のことなど特に言う必要がないんですね。

 

一方で、「通う頻度をもう少し増やしませんか?」とか「パーソナルトレーニングも取り入れてみませんか?」と私からご提案するケースもあります。


それはどういう人かというと──


「施術直後は良くなるけれど、次に来るときには元に戻っている」

 

という方です。

そういった方には、こちらから色々とアドバイスすることもあります。


でも、正直なところ「売り込み」と受け取られてしまい、身構えられてしまうことも少なくありません。

 

確かに「余計な出費をしたくない」という気持ちは理解できます。
でも実は、私のほうこそ“余計な出費をしてほしくない”からこそ、改善が積み重なるようなアプローチを勧めているのです。

 

せっかく来院して、良くなっても、また元に戻ってしまう…それってもったいないと思いませんか?
少しずつでも改善を積み重ねていけた方が、トータルで見ればお金も時間も無駄にならないと思うのです。

 

ちょっと良くなっては戻り、また良くなっては戻り…
このループを繰り返しているうちに、実は少しずつ悪化していた──というケースも少なくありません。


では、なぜ戻ってしまうのか?

施術の効果が続く人と、すぐに元に戻ってしまう人。
その違いはいったい何なのか? 一緒に考えてみましょう。


理由①:日常生活のストレスが大きすぎる

これはシンプルなケース。
施術で一時的に良くなっても、日常生活の中で受ける負荷(姿勢・仕事・精神的ストレスなど)が強すぎるために元に戻ってしまうのです。

当院の施術は、身体のバランスを整えることで「自然治癒力」が発揮される土台をつくります。
でも、その回復力を日常のストレスが上回ってしまうと、せっかくの効果も長続きしません。

この場合の対応策は、

  • 単純に施術頻度を上げる
  • 負荷の大きい姿勢や動作を見直す
  • セルフケアを習得して自宅で実践する
などが考えられます。

理由②:身体の使い方にクセがある

無意識のうちに「自分に合っていない身体の使い方」をしているケースです。

厄介なのは、本人は“正しい”と思ってやっている場合が多いこと。


たとえば、良かれと思って背筋を伸ばしているつもりでも、実際は腰に過度な反りがかかっているなど、身体にとっては負担になっていることもあります。

 

こういったケースでは、自分ではなかなか気づけないため、
ボディワークなどで「動きの再学習」をするのが有効です。


理由③:身体の変化に気づけない

そして今回の本題がここです。

実は、「身体の変化に気づけるかどうか」が、施術の効果の持続を大きく左右します。

 

先日も、ある女性のお客様に施術をした後、明らかに動きが良くなっていたのですが、
ご本人は最初、「そんなに変わってますかね?」とピンと来ていませんでした。

 

しかし施術前後の動画を一緒に確認すると──


「えっ!? 全然違う! こんなにスムーズにしゃがめてなかったんですね…!」

と驚かれていました。

 

このように、**「自分の変化に気づくことができるかどうか」**は、とても重要です。

なぜなら、脳は「うまく動けた」「軽くなった」などの成功体験に気づいたときに力強く、学習が進むからです。

 

この仕組みを運動学習理論において「ドーパミン報酬系の運動学習強化」といいます。
(下はフローチャートです)

  
ポジティブな変化に気づいたとき、脳内でドーパミンが分泌され、「この動きは良いものだ」と記憶されていくのです。

 

でも、変化に気づけないまま終わってしまったら?
脳は「何も起きなかった」と判断し、元のクセに戻りやすくなります。

 

《トピック》

報酬系の活性化が運動学習を強化。特に、自己認識や成功体験がドーパミンを介して学習を促進する事を示す論文

The Role of Reward in Motor Skill Acquisition


気づける人”は、どんどん変わっていく

だから私は施術後、なるべくご自身で変化を体感してもらえるようにしています。
動画を見たり、ちょっとした姿勢の違いを一緒に観察したり──
それらはすべて「脳に成功体験を教えてあげる」ためです。

 

“気づく力”を育てていくことで、良い動きが自然と選べるようになり、最終的には**「施術に頼りすぎない身体」**へと変わっていきます。

 

あなたの身体は、必ず変わろうとしています。
あとは、その小さな変化に「気づいてあげる」だけで、
施術の効果はもっと長く、もっと深く、定着していくはずです。

 

結果も重要だが感覚の変化に気付けるのが重要

 

しかし、注意点として多くの人が動きの変化に気付こうとするあまりに

「正しい動きが出来たか?出来てないか?」に執着してしまいます。

つまり「結果」に執着してしまいます。

もちろん、結果が出る事は大切ですが、それを得る過程では結果への執着は妨害になる時があります。

 

動きの結果に執着するより、感覚の変化に気付けるようにして下さい。

逆にいうと動きの変化は感覚の変化に気付けないと実際には判断出来ません。(歩いている時に自分自身の姿をモニターに映し出してチェック出来ますか?)

 

エクササイズを実施した後に「動きが良くなったか?」と確認するよりも「何か感覚が変わったところは無いか?」と観察する方が結果として動きの変化が分かるようになります

 

その事を肯定する研究結果はたくさんあります。

 

・運動学習において「動き」に集中するより「感覚の変化」に気付く事が動作の改善に役立つという学術的な報告。

 

Conscious awareness of motor fluidity improves performance and…(Neuropsychologia, 2021)

 

・身体アウェアネスを高めることで、感覚フィードバックの処理が向上し、リハビリテーションにおける運動機能の回復が加速

The importance of recovering body awareness in post-stroke rehabilitation:…

 

固有感覚トレーニングが運動学習を促進し、パフォーマンスを向上させる。特にアウェアネスを高める介入がフィードバックの精度を改善。

Effects of proprioceptive training on sports performance: a systematic review


最後に

最初に紹介した女性のお客様は、普段特に運動などはしていません。
それでも、施術前後の変化にとても敏感に気づかれます。

 

次に紹介した整体施術だけでドンドン良くなっていく男性の方も同様です。

 

こうした方々に共通しているのは、“身体への気づき(アウェアネス)”が高いこと

 

気付きが高いとご紹介した方々のように整体施術だけでも改善していきます。

逆に気付きが弱いと…整体に加えて運動を頑張ってもなかなか改善は定着しません。

 

私たちは「筋力」や「柔軟性」が改善するから、身体が改善すると思いがちですが

それだけではなく、気付きによる脳のプログラムの書き換えが非常に重要なんです。

 

著名なボディワーカーであるエドワード・モーピンも、著書の中でこう語っています。

  

「アウェアネスが変化を起こす」

 

クライアントの内にあるボディ・アウェアネス(身体的気づき)が、筋膜が緩むこと・移動・再編成することを最終的に「決定する」のです。ある意味、ボディ・ワーカーは身体をタッチしているというよりむしろ、身体の中にあるアウェアネスに触れているのです。一度コンタクトが確立されると、私達がいう 「タッチ・コミュニケーション」という身体とボディ・ワーカーとの間に深い一連の交流が生み出されるのです。

 

  

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