実は人間の身体の事は科学がほぼ全て解明していると思っているように感じますが、意外な事も今の科学をもってして解明されていなかったりします。
そんな「えっ!?そんな事も解明されてなかったの?」という事を紹介します。
ちなみに今回の参考文献を先に示しておきます。
■ツルツル、ザラザラが何で?分かるか
私たちが何かを触った時に肌感覚を説明する際に
「ツルツルした材質で気持ち良い」
「ざらざらしていて触ると危ない」
など「オノマトペ(擬音語)」を使って表現して当たり前のように相手に伝わります。
この「ツルツル」「ざらざら」を感じる仕組みは実はまだはっきりとは分かってません。
「えぇ!そんな事はとっくの昔に理屈が判明しているでしょう?」
いえいえ、ChatGptくんに質問すれば分かる事ですが、今の科学でははっきりと仕組みが解明されていません。
是非皆さんもPC、スマホなどでChatGptくんに「ざらざら、ツルツルを触って理解出来る仕組みは完全に判明していますか?」と聞いてみてください。
信じられないと思いますが、今のところ完全には解明されていないのが事実です。
ですが、有力な仮説がいくつか挙げられています。
① 機械的変位・振動フィードバック仮説(Vibratory Hypothesis)
② 皮膚変形パターン仮説(Skin Deformation Hypothesis)
③ 摩擦抵抗・滑走フィードバック仮説(Friction-Based Hypothesis)
④ マルチモーダル統合仮説(Multimodal Integration Hypothesis)
⑤ 経験・予測ベース仮説(Predictive Coding / Cognitive Influence)
詳細は全て記載すると長文になりますので、皆様ご自身でChatGptなどのAIで調べて頂ければ幸いです。
この中でも面白いのは②皮膚変形パターン仮説ですね。
これは既に仮説を元にロボットが開発されています。
ロボットアームなどで部品組み立てなどの作業をする際に、部品が「固い」場合には特に問題は無いのですが「柔らかい」とロボットが力加減を間違え「破壊」する危険性があります。
また、更には「柔らかい」に加えて「滑りやすい」が加わると更に難易度が上がりますよね?
そんな機械にとっては難しい作業も人間は難なく行えるのは皮膚の「歪み」を利用しているからだと言います。
例えば、夏場に冷たいビールを夜店などで購入すると薄いプラスティックのカップに入れて提供してくれる事がありますよね?
すると、ビールが入ってそれなりの重さがありますが、コップは柔らかい上にキンキンに冷えたビールなら「水滴」「霜」がついている事があります。
まさに「柔らかい」「滑りやすい」訳です。
ですが、私たちはコップを潰さず落とすことなく難なく持つことが出来るどころか、持ったまま歩いたり、おしゃべりしたり、更には反対の手にはたこ焼きの容器を持ったりと…
ロボットからしたら考えられない高度な運動が出来る訳です。
これは皮膚が物を持つと「歪む」事を利用しているそうです。
物質が重たいと当然強く握りますし、歪みも大きいです。
しかし、重たいけど滑りやすい物ならば歪みは小さいので、その差から物質を掴む際の力の大きさなどを計算している様です。
私の個人的な推測にはなりますが恐らく、過去の記憶や経験なども利用していると思います。
と言うのも、長期記憶がはっきりしない3歳未満の幼児などはよくコップを落としますからね。
この皮膚の歪みのメカニズムを利用して開発されたセンサーはSyntouch社(カリフォルニア工科大学発ベンチャー)で開発されていて、医療用ロボットなどに利用されているそうです。
参考記事「SynTouch」がロボットに与える「手触り」
https://wired.jp/2015/12/22/syntouch-robots-feel-textures/ *下の写真はリンク先の記事より引用
④マルチモーダル統合仮説や⑤の経験・予測ベース仮説も非常に興味深く、簡単に説明すると「過去の皮膚以外の感覚情報を利用する」事を含んでいます。
例えば、赤ちゃんの頃に何でもかんでも口に含んでしまう時期がありますが、この頃の口腔内や舌で舐めた感覚情報を後の触覚情報に利用しているという仮説もあります。
これは日本では東京芸大で解剖学の先生をしていた三木成夫先生が良く著書で紹介する話なのです。
今回ChatGptで色々とリサーチしていている中で知ったのですが、三木先生のお話の元ネタはリザ・エリオット著『赤ちゃんの脳と心で何が起こっているの?』という書籍の中で記載されているある研究結果の話の様です。
この本の中で紹介された乳児の研究において、乳児は舌で探索したものについて「視覚情報」として認識している事が判明していると記載されています。
このような事踏まえを三木氏は著書の中で「舐めるように見る」という言葉が生まれた背景ではないだろうか?と記しています。
三木先生の本は私のトレーナーのメンター渡辺なおみ先生が推薦していたので、たくさん持っていますが、エリオットは初めて知ったので勉強になりましたね。
また、過去に物体に触った時の「クオリア(心の質感)」も「ツルツル」「ざらざら」などのオノマトペに関係していると言う仮説もあります。
クオリアは日本だと茂木健一郎先生が良く話をしていると思います。
心の質感と訳される事がありますが、例え話として「リンゴの赤色」を挙げる人が多いですね。
例えば、リンゴの赤色と聞いて思い浮かべる赤色は人それぞれ微妙に違うと思います。
そこには実際には品種の違いなどもありますが、その時の情動であったり、過去の経験も関係してきます。
それを「クオリア(心の質感)」と言って、茂木氏は脳科学最大の研究課題と言ってるとか言って無いとか…
されはされおき…
そう考えますと、私たちは「ツルツル」と言う言葉は互いに共有していますが、そこから得られる感覚は同じ感覚を共有していると勘違いしているだけで、実際には各々異なった感覚を持っているのかもしれませんね?
■ぶっちゃけると科学が人間の運動を完全に理解出来るのはまだ先だが…
なぜ?今回このような話をGW連続コラムの締めに持ってきたか?と言いますと、「ツルツル」「ざらざら」の仕組みすら人間には科学で完全に判明出来ていない訳ですから、それ以上に複雑な人間の運動なんて私たちが生存している間に全て科学で解明する事はほぼ無いと言う事です。
だからと言って科学は無能ではないですよね?
完全に分からなくとも、科学には分かった事を他で応用する事が出来る利点があるのは冒頭話したロボット工学の話から分かると思います。
しかし、たまに運動指導者や施術家の中には
「科学は絶対じゃないから、重視しなくて良い」
と言って軽視する人たちがいます。
私個人の感想では科学が絶対じゃないのなんて「当たり前」なんですね。
しかし、科学を否定するのは人間を否定する行為と変わらないと思っています。
というのも、人間は言語によって「知識」「技術」を次の世代に伝える事で貧弱な身体であっても生存競争の中で生き延びてきたわけですからね。
■一般意味論の「地図と現地」から学ぶ、健康作りのスタンス
「一般意味論」という学問の中で「地図と現地」という有名な話があります。
簡単に言うと「地図はいくら精工になっても、リアルな現地にはなり得ない」と言う事です。
しかし、だからと言って日常生活の中で「Googleマップは真実じゃないから使いません!私は野生の感覚だけで生きていきます!」と言ってる人がいたら心配になりますよね?
賢明な人間ならば、Googleマップで大体の場所までたどり着いたら、最終確認に自分の目で正しい場所に辿り着けたか?確かめるだけです。
身体についても同じくで良いと思いませんか?
科学的な知識、技術を参考に目的地へと向かって、それが自分に合っているか?の最終確認は自分で行うのが良いと思います。
だが、しかぁし!
その最終確認がしっかりと出来る為にはある程度自分の身体を知る必要があります。
その為には「セルフケア」の習慣が大切なんです!
どういう事か?セルフケアの重要性を、掃除に例えて説明してみましょう。
例えば…
部屋を全く掃除する習慣が無い人
年に一回くらい部屋掃除する人が不意に風邪を引いて困っている時に
「風邪薬ってどこ置いたっけ?」
となって、探し出すと部屋に散らかっている物をどかしながら風邪薬を探さなくてはいけないので結構時間が掛かりますが
ある程度掃除する習慣がある人、月に1~2回部屋を掃除する人なら「あぁ、あそこに置いたな」ってすぐ気付けますよね?
それが週に1回くらいの頻度で掃除して、いつでもキレイに部屋を保っている人なら最早どこに何があるか?など迷う事なんて無いかもしれません。
そんな感じで掃除をする習慣の無い人が不意の探し物などが見つからず困るように
普段から「自分の身体」を知る努力をしないと、不意に体調が悪くなった時などに「何が原因なのか?」さっぱり分からず不安になり混乱する事になりかねません。
また、そういう混乱している時は症状改善に逆効果になる事をやってしまいがちなんですよね。
いざという時に困ってからじゃ遅いので、賢明な皆さまは転ばぬ先の「セルフケア」を習慣づけてください。
おくがわ整体院は…
あなたの身体に合わせたオーダーメイドの整体とボディーワークで、
効率よく続けられるセルフケア習慣を、一緒に創り上げます。
あなたらしく、心地よく生きる力を、育てていきましょう。

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