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えっ、つま先は真っすぐじゃないの? ──その立ち方、身体を壊しているかもしれません

えっ、つま先は真っすぐじゃないの?

──その立ち方、身体を壊しているかもしれません

皆さんは「正しい立ち方」と聞いて、どんな姿勢を思い浮かべるでしょうか?

整体院でもよくこんな質問をいただきます。


「立つとき、つま先は真っすぐ前を向けた方がいいんですよね?」

 

おそらく多くの方が、学校やスポーツの指導、ジムやヨガなどで「つま先は正面」と教えられた経験があると思います。

 

確かに、見た目には整って見えるため、「真っすぐ=正しい」というイメージが強いのも無理はありません。

 

でも実は──
それ、身体にとって不自然な姿勢かもしれないのです。


 本来の「ニュートラルポジション」とは?

 

私たち人間の骨格構造上、膝が正面を向いている時、つま先は自然と5〜15度ほど外側を向くのが標準です。これは多くの姿勢評価書にも記されている内容です。

 

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「え?でもトレーナーやヨガの先生は“つま先は正面”って言ってましたけど…?」

 

そう感じる方もいるかもしれませんが、実は解剖学的に「つま先がやや外向き」が自然な構造なのです。

 

なぜなら、脛骨(すねの骨)は下腿部でわずかに外捻じれしているため、膝が正面を向いた状態では、つま先が自然にやや外側を向くことになるのです。

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試しにAIにもこう尋ねてみました。


「立位で膝が正面を向くとき、つま先はやや外を向くのが一般的では?」

返ってきた答えはこちら:

 

「はい、その通りです。人間の立位姿勢におけるニュートラルポジションでは、膝は正面を向き、つま先(足部)はやや外側に開くのが自然なアライメントです。角度には個人差がありますが、通常5〜15度程度とされています。」

 

つまり──つま先やや外向き”は解剖学的にはむしろ常識なのです。

 

   


 実は歩くときも「つま先は外向き」

 

歩行中のつま先の角度(足角)も、平均で7〜12度外側を向いています。無意識に歩いているとき、つま先がわずかに外を向いていることに気づく方も多いのではないでしょうか。

 

  

この自然な角度が、股関節や骨盤、膝への負担を減らし、スムーズな歩行を可能にしているのです。

 

それなのに、「つま先は真っすぐが正しい」と思い込んで無理に正面へ向けると──


 股関節のトラブルが起こりやすくなる

 

臨床の現場では、「つま先を真っすぐに」と意識しすぎることで不調を招いている方を多く見てきました。

 

特に股関節の捻じれが弱い方(後捻股と言います)はつま先を真っすぐにを意識し過ぎると股関節の詰まり感や痛みが生じやすい事は様々な研究が報告されています。

 

学術文献: Ganz et al. (2003)、Ito et al. (2001)、Audenaert et al. (2012)

 

日本の理学療法士 宮嶋佑先生の記事 https://1post.jp/6056

 

下のインタビュー動画は以前にも紹介しましたが、後捻股の女性の方がピラティスのレッスンなどでつま先正面でのエクササイズを繰り返し実施している内に「股関節が痛くて歩けない」となって、当院にお越しになり、施術後に劇的な改善をした方へのインタビューです。

 

 

特に問題となるのが、股関節の内旋筋群(小殿筋や大腿筋膜張筋など)の過緊張です。無理につま先を正面に向けようとすると、股関節が内旋し、それを支える筋肉が常に緊張状態になります。

 

その結果として…

  • 股関節の詰まり感や違和感
  • 膝の曲げにくさ・伸ばしにくさ
  • 筋膜の過緊張による慢性的な疲労感
  • さらには腰痛や姿勢の乱れに発展するケースもあります

 なぜ「つま先は真っすぐ」が広まったのか?

 

ではなぜ、ここまで誤解が広がってしまったのでしょうか?

AIの見解も参考にしつつ、いくつかの理由が考えられます。

  1. 「見た目重視」の文化的背景
     整った姿勢を「美しい」とする傾向が強く、つま先を外に向けると“だらしない”印象を持たれがちです。
  2. 解剖学知識の不足
    一般の人々や一部のトレーナー、指導者でさえ、骨格構造や関節の自然なアライメント(例:股関節の前捻角と脛骨の軽い外捻)についての詳細な知識が不足しています。膝とつま先の位置関係が股関節や骨盤の構造に影響されるという事実が、専門家以外にはあまり伝えられていません。
  3. 指導現場での単純化
     フィットネスや健康指導では、複雑な解剖学よりも分かりやすい言葉が優先されがち。「つま先は正面」という表現は教えやすいのです。
  4. 個人差への配慮不足
     骨格構造や可動域には個人差があるにもかかわらず、「全員に共通の正解」を求める指導が主流になっています。
  5. メディアの影響
     トレーニング動画や雑誌、SNSなどでも「整った立ち姿=つま先真っすぐ」がビジュアル的に支持されやすい傾向があります。
  6. 安全性の過剰強調 
    「膝がつま先より前に出ない」「膝とつま先の方向を揃える」といった指導は、膝の怪我(特に前十字靭帯損傷など)を防ぐための安全策として広まりました。このルールが、ニュートラルポジションの自然な外旋を無視した形で過度に一般化された可能性があります。
また、勘違いの一つの原因には「クライアントがトレーニング中の膝とつま先の位置関係と誤解している」事もあります。

スクワットなどのトレーニング中に「つま先を膝の方向へ向けてしゃがんで」と指示される事があります。

これは膝関節と足関節(距腿関節)の関節の方向を同方向にする為です。
つま先がやや外側で膝をつま先より内側に曲げると「剪断力」が発生して関節を痛める可能性があるからです。

簡単にいうと安全にトレーニングする為の話なので、立位での正しい姿勢の話とは切り離して考えた方が良いでしょう。

ちなみに私は健康な身体を持つ人ならば、つま先が外側を向いている時にしゃがむと特に意識しなくとも勝手に膝も外側を向くようにしゃがむと考えています。
同様に考える専門家も多いです。

その根拠はまたの機会に詳しく説明しようと思いますが、簡単に以下にまとめます。

  • 股関節屈曲時の外旋(腸腰筋や外旋筋の作用)が、大腿骨を外旋させ、膝をやや外側に導く。
  • 骨盤後傾と運動連鎖が、股関節の外旋をさらに促進し、下肢全体のアライメントを整える。
  • 膝のスクリューホームムーブメントが、脛骨の内旋を通じて大腿骨の相対的外旋を補助し、膝とつま先の方向を一致させる。

■ “あなたのニュートラル”を探そう

 

では、どうすればいいのでしょうか?

 

おくがわ整体院では、体幹のインナーユニット(腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋)に力が入りやすいポジション=その人にとってのニュートラルポジションを見つけることを大切にしています。

 

特に、骨盤底筋は股関節を安定させる内閉鎖筋と連動して働くため、無理なつま先の角度で骨盤や股関節がねじれると、体幹全体にも影響が及びます。

 

「誰かにとっての正解」ではなく、**“自分にとっての自然な立ち方”**を知ることが、ケガを防ぎ、ラクに動ける身体づくりにつながります。


 最後に

 

「正しい姿勢=つま先真っすぐ」という固定観念を、一度見直してみてください。

 

たった数度、つま先の向きをゆるめるだけで、股関節の違和感が和らぎ、姿勢や歩行がぐっとラクになる方は本当にたくさんいらっしゃいます。

 

あなたの身体は、あなた自身のもの。


見た目より、中から安定するポジションを大切にしていきましょう。



おくがわ整体院は…

 

あなたの身体に合わせたオーダーメイドの整体とボディーワークで、
効率よく続けられるセルフケア習慣を、一緒に創り上げます。
あなたの可能性を、もっと解き放つために。



参考文献

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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