さて、体幹トレーニングと言いますと「プランク」のような「固める」運動をイメージする方が多いと思いますが…
実際にはそんな事もなくて「動かす」体幹トレーニングもたくさんあります。
下は「コモドウォーク」と言って最近流行っているトレーニングですが、実は10年以上前から体幹トレーニングとして存在していて
その当時は「スパイダーウォーク」と呼ばれていました。
信じられないかも知れませんが、この動きは歩行の際の体幹の動きと重心移動に似ているので、歩行動作改善によく実施されます。
皆さんが見ても「どこが似てるの?」と言う感じでしょうが、見る人が見ると似ているのです。
また「固める」運動は「柔軟性」や「瞬発力」とは関係無いと考えている方も多いと思いますが、ところがどっこいで「柔軟性」「瞬発力」とも「固める」能力が関係している事は以前のコラムで説明したと思います。
瞬発力とスタビリティの関係
柔軟性とスタビリティの関係
「じゃあ、なんでもかんでも体幹トレーニングが効果あるってこと?」
と思われる方もいらっしゃると思いますが、端的に言うと「その通りです」
というのも、全ての運動の土台が「体幹能力」だからです。
ちなみに上の図を考案したグレイ・クックというのが、現在の世界ナンバーワントレーナーと言われている人物です。
このパフォーマンスピラミッドの土台の能力が大きいほどに、ピラミッドの上の能力がより高く安定すると言う事です。
「全ての人にとってベストトレーニング」では無いですが
「全ての人にとって必要なトレーニング」なんですね。
そんな体幹能力ですが…
今回は体幹が「しなやかな動き」に関係する事を説明いたします。
皆さんがよく身体を動かす時に「軸」が大切だと言う話をすると思いますが、軸を作っているのは体幹のインナーユニットです。
もう少し言い換えると…
✅長くしなやかな身体の軸を作るのが体幹のインナーユニット
逆に…
✖短く固いだけの身体の軸を作るのが体幹のアウターユニット
なのです。
皆さんが憧れるのは前者ですよね?
誰もがダンサーのような「長くしなやかな動きをする身体の軸」に憧れます!
✖と書きましたが、後者の固い軸も重要です!
例えば、アメフト、ラグビー、相撲、格闘技、などのコンタクトスポーツで必要になるからです。
しかしながら、そのようなスポーツをする人でも基本的には柔らかくしなり、そして長い軸があった方が良いのです。
動画でも説明していますが、アウターマッスル(体幹を安定させるアウターマッスルはアウターユニットと言います)は背骨を短くしてしまいます。
動画ではキックボクシングのパンチとキックをしていますが…
背骨をインナーマッスルを使って長くしなやかに使うと
こんな感じになりますが
アウターマッスルで固めてしまうと
こんな感じになってしまいます。
このような蹴り方を別名「じさま蹴り」と言うようです。
私の整体の師匠である及川雅登先生は日大レスリング部のヘッドトレーナーであり、幼少の頃から空手もやっていて、日大関係で「K-1」の選手を見る事が度々ありました。
よく体幹が使えないと「じさま蹴り」になると笑いながら話していました。
スポーツに限らず、人間の日常動作において「軸」を中心に身体を捻る「回旋動作」はたくさん出てきます。
一番代表的なのは「歩行」です。
人間の運動は体幹の回旋運動が中心になっています。
お猿さんの歩行は回旋では無く側屈という背骨の動きをたくさん使います。
また、歩行は人間の全ての運動のベースとなっています。
歩行時の身体の運動(運動連鎖)や重心移動が、他の全ての日常動作の土台になっていると言って過言ではありません。
歩行では背骨が長くしなやかに使える事によって、それらの機能が正常に働くようになっています。
ちょっと難しい話になってしまうので、機会を改めて別にお話しないと理解不可能だと思うのですが…
実は「背骨を伸ばした状態での回旋」と「背骨を縮めた状態での回旋」では、背骨の関節の動きは逆になってしまいます。
骨盤の動きも逆になるので、骨盤と連動してる下肢の動きも逆になります。
そうすると重心移動も逆になるのです。
何のこっちゃと思うでしょうが…とにかく、人間の全ての運動のベースは「歩行」であって、正常歩行の基盤は「背骨を長くしなやかに使える事」です。
そして、背骨を長くしなやかに使うには「体幹のインナーユニット」が大切になってきます。
すなわち、全ての運動において「体幹のインナーユニット」は重要だと言う事です。
まるで洗脳のような理論展開ですが、それがただの事実なんです。
動画とは逆になりますが運動について体幹のインナーユニットの重要性を先に説明しました。
運動時以外にも、例えば腰痛などの予防においても当然ですが体幹のインナーユニットは重要な役割を果たすのです。
前述したように体幹のインナーユニットは「背骨を長くしなやかに保って使う」ような働きもあります。
例えば、背骨が棒のように固い人やしなやかに分節ごと(一個一個)動かせないと
背骨を大きく動かす時に「動かない背骨」を庇って「動き過ぎる背骨」が出来てきます。
そういう箇所に外傷が起こりやすいのです。
前屈動作もインナーユニットをしっかり使えている人は「南京玉すだれ」のように背骨が一つずつしなりながら曲がります。
しかし、インナーユニットが上手く使えてないと背骨を固めて使う為に「動き過ぎる部位」が出来てしまいます。
その動き過ぎる部位に負荷が集中してしまいます。
このイラストは前屈ですが、その他の「後屈」「側屈」「回旋」も全部同じです。
そのような感じで体幹のインナーユニットはしなやかな「軸」はもちろん、全ての方向の安全な背骨の動きに関係しています!
インナーユニットは体幹トレーニングを実施すると使えるようになってきますが、アウターマッスルを緩める事で使えるようにもなりますので
運動が苦手な人や嫌いな人はまずは整体施術で「緩める」ことを重点的に実施してみると良いと思います
表面の筋肉が緩むと自ずとインナーも動いてきますからね。
つまり、一番ケガしやすいのは「表面のアウターマッスルが緊張して、なおかつ深層のインナーマッスルが使えない人」になります。
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