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  • O脚(X脚)
私が股関節の形状の個人差を重視するきっかけになったクライアントの話

近年ようやく股関節前捻角や頚体角の話をする先生が増えて嬉しく思っている。Youtubeなどでも「前捻角」の評価の重要性を説く理学療法士はもとより、ピラティス、ヨガインストラクターやトレーナーが増えてきた。

 


ここで知らない人の為に説明すると「股関節前捻角」とは、足の骨である大腿骨の付け根の捻じれ角度で

私たちの膝が真っすぐに立った時に正面を向くのは、足の付け根が前に捻じれているからであって捻じれが無いなら膝は横を向く

この捻じれが前に15度程度が正常値だが、時々30度くらいに大きく捻じれている人がいて膝が内を向いて立つため「内股」または「前捻股」と呼ぶ

その逆に捻じれが極端に小さい人もいて、10度以下の人は膝が外を向くので「外股」または「後捻股」と呼ぶ


「頚体角」は正面から脚の付け根を見た時に脚の付け根から本体である大腿骨は120度~135度内側に「くの字」を描くように曲がっている

この角度が小さいと「内反股」と呼び、内に曲がっているのでX脚になりやすい

この角度が大きいと「外反股」と呼び、外に開いているのでO脚になりやすい


ちなみに赤ちゃんの股関節は全て「前捻股」「外反股」なので、赤ちゃんは歩く時は「ガニ股」になる。

別に筋力不足でガニ股になっている訳では無いので、美脚トレーニングを赤ちゃんが行ってもガニ股は直らない(笑)


このような股関節の形状の個人差を考慮しないで全てのクライアントを同じフォームに当てはめる指導をしていると

時に故障の原因になる事がある。


分かりやすい例を示すならば、前捻股で骨の構造が「内股」のクライアントに「お尻の筋力不足だから内股になるのです」と言ってお尻の筋トレをしても改善する事は無いだろう。


というよりも、そのクライアントにとっては「内股」が自然なのである。

場合によっては無理なトレーニングは股関節の故障の原因となる事もある。


そういう解剖学的には当たり前の事実がようやくトレーナーの世界にも浸透してきた感がある。

最近はyoutubeで「前捻角」と入れ検索すると随分と多くの動画がヒットするようになった、これは一般のクライアントにしても良い事だと思う。


私は10年以上前から重要性をblogなどで発信してきたが、10年前には私以外に前捻角の評価が大切と言ってる先生は調べた範囲ではいなかったと思う。(気付いてないだけでいたとは思うが)

 

ではなぜ?そもそも私はそんな誰も発言している人がいない時期から「前捻角の評価が大切だ、重要だ」と言うようになったのか?

それは一人のプロゴルファーのクライアントを見た事がきっかけだった

 

その方は股関節と腰が痛くてお越しになった方だった。

一応断っておくと当院は整体院で治療院ではないので、痛みが強い方や急性期の方には整形外科などの医療機関で診察を勧める事があるが、その方は既に整形外科含め色んな治療院に通ったが全く改善しなかったと言う事もあって受け付ける事にした。

 

聞くとプロゴルファーの方で、レッスン中にどうしても膝が開いてしまうのが気になり股関節の内転、内旋という、ようは膝を閉じるような動きの筋トレやストレッチを繰り返している内に、最初は股関節、次は腰と言う順番で痛くなってきたそうだ

 

医療機関では骨には異常が無いと言う事で終わって、整体やパーソナルトレーニングも複数受けたが改善しなかったという。

 

私は著名な書籍だが「運動機能障害症候群のマネジメント」の中に以下のような症例があったのを思い出した。

 

それは後捻股のクライアントの話だった


以下引用

後捻は腰痛の一因にもなる。後捻のある患者がゴルフボールを打つときに足部を真正面に向けているならば、股関節内旋は最終可動域に達し、股関節の運動制限のために腰部の回旋による代償が必要となるかもしれない

 

引用終わり


そのお客様に股関節の前捻角を評価するテスト「クレイグテスト」を実施すると、結果は見事なまでの「後捻股」だった

 

私は「後捻股と言う内側に膝が入りにくい股関節の形状」だと言う事や「無理に膝を内に入れようとすると股関節周囲の組織の損傷に繋がるかもしれない」という話をした。

流石はアスリートで多少解剖学などの知識があったのも手伝い、すぐに話は納得して頂けた。

 

その日は股関節や腰周辺の筋膜や関節を中心に全身を緩める事を処置とした。

念の為に次回お越しになるまでの期間は難しいかもしれないけど、レッスン時以外は膝を内に入れないで開いて練習してみて欲しいと伝えた。

 

そして、次回ご来院の日だが開口一発症状が改善したと仰った。

それ以降の私は股関節痛や腰痛の方は前捻角の検査を必ず行うようにしている。

 

すると想像以上に股関節前捻角に合わない身体の使い方が原因で不調になっている人が多い事に気付いた。

 

これはなぜか?分かりやすい例え話にするなら

 

皆さん考えて欲しい…

「身体に良いから毎日食べなさい」とネット記事に書かれていた食品が、実は自分の身体に合ってなくて体調不良になっている時は中々それが原因に気付きにくくなかろうか?

 

更にはそれが不調の原因と思っていないものだから、逆に体調を改善したい余りに更に食べて症状悪化させてしまう可能性もある。

 

プロゴルファーの話に戻るが、こういうケースはクライアントが自分の骨格特徴を理解出来れば症状はすぐに改善する。

そして、逆に骨格特徴を知らないままだと皆さんが「ゴッドハンド」整体院に行って、筋や関節の調整をしてもなかなか改善しない…


それは前述した通り、日常生活で自分では悪いと思っていない動作が自分を悪くしてしまっているからだ。

 

これは絶対に世の中に周知していった方が良いと思って、2018年度から健美脚トレーナー養成講座という、要はO脚矯正なのだが必ず「前捻角」などの評価を行い、クライアントの身体にあったエクササイズ指導を行えるトレーナーを養成するセミナーを開催してきた。

 

今月の28日に健美脚トレーナーの評価と座学の部分だけをセミナーにした「下肢アライメント評価と改善の考え方」と言うセミナーを開催する。

 詳細ページ https://www.okugawaseitai.com/r6tc-0728


興味沸いた方は是非参加していただきたい!

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