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  • 腰痛
ギックリ腰が繰り返される理由と、なぜ?体幹トレーニングが生まれたのか?は関係あります。

体幹トレーニング、中でもスタビライゼーションと呼ばれるエクササイズ。

これは腰痛リハビリから生まれたと考えられています。

腰痛リハビリの歴史はざっくりと説明すると「腹腔内圧理論」から「後部靭帯系理論」と来て、現在の「体幹深層筋制御理論」

 

この体幹深層筋制御理論を理論背景として出来たエクササイズがスタビライゼーションエクササイズだと考えられています。

 その経緯について詳しくは当院の過去ブログをご覧ください➤https://www.okugawaseitai.com/blog_detail?actual_object_id=309


ですので、当然スタビライゼーションエクササイズの中には腰痛予防の効果が高いものもあります。

 

しかし、一般の方に一番有名なスタビライゼーションエクササイズは「プランク」ですが、近年の研究では残念ながらプランクの腰痛リハビリとしての効果に疑問が出て来ています。

 

というのも、実験の結果で「プランク」は体幹の深層筋が上手く機能していない人が多い事が分かったそうです。

 

表層の姿勢保持の体幹筋が中心で、深層の姿勢保持筋がほとんど収縮していなかったようです。

 

で、これの何が腰痛リハビリとして問題か?と言いますと、私は大きく二つの問題が考えられると思っています。

 

表層の姿勢保持筋には脊柱の分節毎の支持機能がほとんど無い

✅急性腰痛後には腹横筋、多裂筋の機能不全が見られる。

 

✅表層の姿勢保持筋には脊柱の分節毎の支持機能がほとんど無い

表層の姿勢保持筋、アウターユニットなど言われる事がありますが「前斜系」「後斜系」「深縦走系」「外側系」の四種類が考えられています。

 

これらと体幹深層の姿勢保持筋である「インナーユニット」

これも4つの筋肉で構成されていて「横隔膜」「腹横筋」「多裂筋」「骨盤底筋群」があります。


 

インナーユニットとアウターユニットが外力の負荷に対して、出力を調整しながら脊柱の安定を半自動的に保つメカニズムになっていますが、基本的には脊柱の分節毎の安定はアウターユニットでは制御出来ないと考えられていますので、インナーユニットが優先的に働いて脊柱の分節毎の安定性を保ったうえで、外部からの外力が強い場合にアウターユニットが足りない分を補完するという形になっています。

 

プランクの場合にはアウターユニットの働きが大きすぎて、インナーユニットが上手く機能していない例が多数見られたようです。

 

ですので、見た目は余り変わりませんが、プランクよりインナーユニットが活性しやすい四つ這いのスタビライゼーションを推奨する先生もいます。

 

✅急性腰痛後には腹横筋、多裂筋の機能不全が見られる。

Hodgesの研究で急性腰痛後にインナーユニットの中の一つ腹横筋の活動に遅延が見られ、後にHungerfordらの研究で腹横筋、多裂筋、内腹斜筋にやはり活動遅延がある事が確認されました。

 

その活動遅延がHodgesの生理食塩水を多裂筋に注射して、人為的に疼痛を起こした実験で再現され、損傷した組織の変性などによって活動遅延しているというよりは、疼痛経験によって活動遅延が起こっている事が分かりました。

 

簡単に言うと痛み経験が活動遅延を生み出していると考えられたようです。

そして、やはりHodgesの研究で多裂筋の活動遅延や委縮は保存療法で単純に組織の損傷が回復しただけでは改善しない事が分かりました。

 

多裂筋を使った特異的安定化運動、つまりスタビライゼーショントレーニングのようなリハビリが有効としています。

 

時折、私のクライアントでぎっくり腰のような急性腰痛から、慢性的な腰痛に移行した方やぎっくり腰を繰り返す方に

 

「○○さんのようなケースでは、マッサージや整体だけでなく、体幹トレーニングのような運動療法をしないと改善しにくいので、体幹トレーニングやりましょう。」と説明しても上手く伝わらない時に

 

「○○さんのような腰痛は筋肉の損傷が治っても痛みの経験のせいで上手くインナーマッスルが動かないで繰り返し腰痛になるんです。それは生理食塩水を筋肉に注射して、わざと痛みを経験させる実験で分かったみたいですよ。」

 

と説明すると「そうなんですね!」と理解してくれるケースが多いです。

 

そのような説明をしてようやく納得下さった方に話を聞くと…

体幹トレーニングしないと改善しないと説明されても「他の方法でも良いんじゃないか?」「筋肉の損傷が治れば機能も回復するのでは?」と考えるそうです。

 

私にしたら「難しい話をしても分からないだろう」と、わざと曖昧な説明をしたのですが逆でしっかりと理由と理論背景を説明した方が良いケースもある事が分かりました。

 

今の世の中は簡単に分かりやすく、結論から、と説明する事を推奨していますが、時と場合によるので、都度こちらも相手を見ながら考える必要がある事を改めて学びました。

 

今回のこの投稿も本日お会いした急性腰痛を繰り返している方への説明の為に書いていますが、同じような方はたくさんいらっしゃると思いますので良かったら参考にしてみてください。

 

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