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《あなたは自転車に乗れますか?》
*この記事は院長の奥川がトレーナー&治療家向けのサイトに掲載したコラムの転載になります。

《あなたは自転車に乗れますか?》
皆さまは自転車に乗れますか?
恐らくほとんどの方が自転車に乗れると思います。

また、多くの方が小学校に入る前には親などに付き添って貰って練習して、一人で自転車に乗れるようになったと思います。
自転車に乗れるようになる前には、皆さんは「補助輪」などを付けて練習をすればいずれ一人で自転車に乗れると思ったりしませんでしたでしょうか?
私は思っていました(笑)
しかし、実際に自転車に乗れるようになったら

✅「補助輪」が自転車に付いている状態

✅実際の「補助輪無し」自転車に乗っている状態
のバランスのとり方が「全く違う」事に気付きませんでしたでしょうか?

そうなんですよね。
実際には、私たちは自転車に乗る時にハンドルを切って左右に曲がる訳じゃなく
身体の重心を傾ける事で左右に曲がっているんですよね。
しかし、補助輪があると重心を左右に移動させても

補助輪が邪魔して、車体が倒れない、結果として曲がりにくいので、ハンドルを多用する事になってしまいます。
ですので、実際に自転車に乗れるようになってから、補助輪付きの自転車に遊びで乗って見ると「なんか運転しにくいな…」という感覚になってしまうのです。
そのような事もあり、現在は「補助輪」は自転車の練習で余り使用しないと聞きます。
つまり、逆効果で実際の自転車の乗り方が上手になるのに余り役立たないと言う事です。
そのために最近は「ストライダー」というペダル無しで、しっかり足が地面につく自転車で「重心移動」の練習をさせますよね?



これは笑い話の様ですが、私たちトレーナーにとって笑ってはいけない話だと私は思っています。
ちょっと難しい話ですが、お猿さんの歩き方と、人間の歩き方の違いの話とも共通していますよね?

お猿さんの歩き方は例えるなら「補助輪付き自転車」で
人間の歩き方は「補助輪無し自転車」なのです。
お猿さんは重心を絶えず「支持基底面」の中に収める事で、転倒しないように歩きますが
人間はわざとバランスを崩す事で、重心位置と支持基底面や床反力作用点とのズレを利用して、回転モーメントを発生させて移動エネルギーに転換するような事をしています。
つまり、筋力を使わず移動エネルギーを上手に発生させています。
専門家によっては、人間のこの歩行メカニズムを「転倒の繰り返し」と表現される方もいらっしゃいます。
つまり、人間の歩行はお猿さんと違って「筋力」を余り使わないところが「味噌」なんですね。
となれば、歩行の訓練が筋力トレーニングが中心になってしまってはいかがなものか?という考え方も出来ます。
まぁ、しかし、未だにトレーナーの指導する歩行訓練は筋力トレーニングが中心かと思いますが…
と言う事で補助輪の例えは、私たちトレーナーも馬鹿に出来ない話ではないでしょうか?
このような感じで、私たちは思い込みで「こうすれば出来る」と思って、色々と身体の使い方や改善方法を考えますが、実際にはピント外れな事が多いです。
特に「補助輪」を「科学」や「権威者」が推奨した時に、その現象はおこりやすい。
時に私たちはクライアントに「補助輪」を付けた自転車にず~~~っと、乗せてしまうような過ちを犯してしまってませんでしょうか?
私たちが信仰する「エビデンス」は「補助輪」で無いと言い切れますか?
時に私たちは、偉い学者や研究者が用意してくれた「補助輪」を外して、子供の頃の自転車の訓練のように時の転び、ケガをしながらでも学ぶ必要があると思います。

自転車の補助輪を科学的なツールだと言ってる人がいた時に、あなたはどう思いますか?
「何言ってるの?非科学的な」と思いませんか?

今まさに「エビデンスグレードが高い」と言われている事が、数年先に「補助輪」とならないと言えますか?
つまり、「補助輪」を妄信する事無く。

時には「補助輪」を疑う習慣こそが、本当の科学的な思考だと私は思っています。
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