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腰痛リハビリから生まれた体幹トレーニング

こんにちは

整体&パーソナルトレーニングで身体を根本から改善する

新宿 おくがわ整体院 奥川です。


今回はタイトルの通りに「体幹トレーニングの歴史」について少し説明をしようと思います。


一応、私の専門分野の一つが体幹トレーニングになります。

2011年度~2014年度くらいまではJCCA(日本コアコンディショニング協会)のA級講師として

トレーナー、専門家向けの体幹トレーニングのセミナー講師を行っていました。


また、私が体幹トレーニングを学び出した時期というの丁度良かったんですね。

丁度日本に体幹トレー二ングが上陸した頃が2009年頃だったと思います。

 

NSCA(全米ナショナルストレングス&コンディショ二ング協会)の協会誌に体幹トレーニングの事が掲載されたのを見たのが、私が体幹トレーニングを知った最初の情報でした。

 

その記事が結構衝撃的だったんですね。

 

今では専門家の間では常識になっていますが、腰部の筋膜炎や関節炎のような急性腰痛を経験した患者のほとんどに腰部のインナーマッスルである「多裂筋」の機能不全や収縮遅延が起こっていて、それが慢性腰痛の原因にもなっているというのです。

 

それまでの腰痛リハビリとは、後に説明しますが「上体起こし」「上体反らし」のような腹筋、背筋運動がメインだったのですね。

 

それらと全く考え方が違う理論のリハビリが生まれた事と、まぁ、言ってしまうとそんな事(上体起こし、上体反らし)をしても無意味だと言う事が分かってきたのです。

 

その「多裂筋」を始めとした腰部の深層筋の機能不全や収縮遅延を改善する技術として、今でいう体幹とレーニングが紹介されていました。

 

という事で、体幹トレーニングはもともと「腰痛リハビリ」が発端と言われています。

これは誰かに確認を取った訳ではないですが、多くの著名な専門家も同様の事を発言していますし、私はタイムリーに腰痛リハビリだったものが「体幹トレーニング」と呼ばれるまでの過程を見てきました。

 

そもそもの腰痛リハビリでも先ほどの深層の筋肉に着目したものの事を「体幹深層筋制御理論」と専門的には呼びます。

 

腰痛リハビリの理論はこの40年の間に目まぐるしく変化しました。

ここで簡単に豆知識的に腰痛理論の変遷について説明します。

1960年代「腹腔内圧理論」

 

これは皆さんおなじみの「腰痛コルセット」を生み出した理論ですね。

腹腔内を空気が入ったボールに見立てて、内側から外側を押し出す圧力が増加すれば背骨を上下に伸ばし、かつ背骨の前側が支持されるだろうと推察した人が考えた理論です。

 

しかし、現在では腹腔内圧理論に対する疑問や限界論が出て来て、腰痛リハビリのメインストリートからは外れています。

 

簡単に説明すると

 

・腹腔内圧で背骨を支える力を発揮しようとすると、腹部大動脈が破裂する程の力が必要と分かった。

・脊柱への伸展モーメント発生を期待したが、実際には圧縮モーメントが生まれ、椎間板に圧縮ストレスが発生していた。

 

という事があったようです。

 

1980年代「後部靭帯系」

 

腰背部と骨盤の仙骨辺りに固有背筋を包んでいる筋膜の層があります。

それを「胸腰筋膜」と呼びます。

この胸腰筋膜は腰や背中の筋肉はもちろんのこと、お尻の筋肉やお腹の筋肉とも連結をしていて、骨に対しては棘間靭帯、棘上靭帯、横突起靭帯と言った、簡単に言いますと腰椎部の安定に関係する人体とも連結しています。

 

この胸腰筋膜が連結している筋肉群が収縮する事で筋が膨張する働きや、収縮した筋肉の筋膜同士が引っ張り合う働きなどで緊張します。

 

その胸腰筋膜の緊張が連結している脊柱後部の靭帯系も緊張させる事で安定性を生むシステムです。

 

以上が能動的な安定メカニズムで、受動的なメカニズムとしては単純な後部靭帯系が体幹前屈位を取る事で緊張するメカニズムもあります。

 

この後部靭帯系の限界としては…

実際には筋収縮する事で腰部に剪断力が発生しているケースが見られた事です。

特に表層にある筋群を強く収縮させると剪断力が大きく発生する事が分かりました。

 

1990年後半~「体幹深層筋制御理論」

 

と言う事で「腹腔内圧理論」「後部靭帯系理論」など様々な腰痛リハビリ理論が生まれては消えていったわけですが(もちろん、各理論の良い所は残っていますが)

 

それらの理論の良い部分を集約して、足りない部分を補完したのが今から説明する「体幹深層筋制御理論」と言っても良いのでないかと思っています。

 

先ほどの後部靭帯系理論のところで述べたように、表層筋の収縮は時には腰椎部に剪断力という、余計な外力を発生させて安定化のブレーキとなる事が分かってきたわけですが

 

同時に表層筋群には直接的な脊柱の分節的安定能力が無い事が分かってきた事と、深層筋群に分節的安定能力がある事が分かってきました。

 

ちょっと難しい言葉でしたね…すみません。

つまり、表面の筋肉には関節一つ一つを安定させる働きは無くて、深層の筋肉に関節一つ一つを安定させる、制御する働くがある事が分かってきたのです。

 

また、腰部の深層筋の中でも「腹横筋」が四肢の動きの0.03秒前に収縮する事で、脊柱と骨盤帯を安定させて、安全に手足を動かせるよう「事前収縮」という働きを行っている事や

 

また、冒頭でお話したように腰部の急性痛を経験した多くの患者さんに「多裂筋」という脊柱の深層筋が収縮しなくなっている、または収縮が遅れているケースが見られました。

 

そのような流れから、一気に体幹の深部にある「深層筋」に注目が集まる事になりました。

 

この体幹深層筋制御理論にPanjabi「脊柱安定化システム論」「姿勢制御アウターユニット」の理論などを組み合わせたものが今でいう体幹トレーニングの原形になると思われます。

 

なぜ、原形かと言いますと、そもそもの腰痛リハビリで行っていた時は「傷病者」へのリハビリだったので、だいぶとトレーニングという感じでは無かったのです。

 

私が最初にNSCAの機関誌で存在を知った時には深層筋が上手く収縮しているか?確認する為に「血圧計のカフ」を利用していました。

 

それくらい厳密に行っていたのですね。

 

しかし、体幹トレーニングとなった今となっては「健常者」が実施するものなので、当然そこまで厳密に行わないですよね。

 

それに、最初は腰痛リハビリのパクリだった体幹トレーニングも現在進行形でスタイルは進化していってます。

 

腰痛リハビリとして行っていた時は「スタビリティ(安定性)」を出すことが主な目的でしたが、健常者の健康増進やスポーツ愛好家のパフォーマンスアップにも実施されるようになって「モビリティ(可動性)」の要素も多く取り入れられるようになっています。

 

ちなみに皆さんが体幹トレーニングと聞いて、恐らく一番最初に思い浮かべるトレーニングは「プランク」だと思いますが、プランクはスタビリティトレーニングの代表的な種目です。

 

プランクが眼につくので、体幹トレーニング≒固めるトレーニングと思っている方もいるかもしれませんし、当院で販売している教材もスタビリティトレーニング中心で作られていますが

 

スタビリティの後には、モビリティも高めるのが体幹トレーニングの本来の考え方です。

 

腰痛リハビリとして実施していた時も、スタビリティがついてきたら動きを出していくと言うマニュアルでしたが、世間では余りその部分は伝わらず、どうも固めるトレー二ングというイメージが定着してしまっています。


それはとても残念な事なんですね。


なぜ?かと言いますと、実は脊柱を一つ一つ動かす為にはスタビリティトレーニングで使うインナーユニットが上手に収縮出来る事が必須だからなんです。


簡単に説明しますと、背骨の土台である下部体幹部の安定が無いと背骨を自由に動かせない訳です。

当たり前ですよね?支点が上手く出来ないので背骨を動かしにくくなります。

実際に骨盤や脊柱を分節ごとに(一つ一つ)動かすのにはインナーユニットである骨盤底筋群、多裂筋、腹横筋が上手く使える事が大切になります。


手足を動かすのも体幹の安定が大切です。

例えば、でんでん太鼓のバチのように柔らかく手足を動かしたいなら、でんでん太鼓の軸がしっかりしている事が大切ですよね?

軸がふにゃふにゃではバチが上手く柔らかく動かせませんよね?


ここまで読んできて「こんな話は初めて聞いた!」という方も多いかも知れませんね。

結構専門的な話ですからね。


このようなネットでググってすぐ見つかる知識でなく、本質的な専門家が学ぶような深い知識を学びたい方は

当院ではそのような体幹トレーニングの知識、技術が学べるオリジナル教材を2つ発売しております。


いわゆる、固めるトレーニングである、スタビライゼーショントレーニングは

こちらの教材


商品特設ページはこちら https://www.okugawaseitai.com/sisei-taikan-lp2

動かす系の体幹トレーニングはコチラの教材で学べます。


商品特設ページはこちら https://www.okugawaseitai.com/kennbikyaku-method

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