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こんにちは
整体&パーソナルトレーニングで身体を根本から改善する
新宿 おくがわ整体院 院長の奥川洋二です。
さて、世間の皆様が少し勘違いされている事で「良い姿勢だと疲れない」という考えがあります。
もしかすると、そのようにトレーナーさんや専門家が勘違いして指導してしまっているケースもあるかも知れません。
確かに「良い姿勢」は疲れにくい姿勢とも言えます。
ですが、いくら良い姿勢でも、ずっと同じ姿勢だと疲れるのは専門知識など無くとも自明の理では無いでしょうか?
というのも、寝転がっていてもずっと同じ姿勢なら疲れますよね?^^;
そう考えると、どんなに良い姿勢でもずっと同じ姿勢は疲れるのではないでしょうか?
そもそも良い姿勢と言われるものは一般の方が考えるような「固定的」なものでは無いのです。
まず姿勢には大きく分けて、動いている時の姿勢である「動的姿勢」と静止時の姿勢である「静的姿勢」の二つがあります。
その上で、なおかつ良い姿勢の評価基準として、次の6つの視点から見る事が重要となります。
1, 力学的な視点
2, 生理学的な視点
3, 運動生理学的な視点
4, 心理学的な視点
5, 作業効率的な視点
6, 美的立場からの視点
この中で一般の方にも分かりやすいのは「力学的な視点」でしょうか?
なぜなら生理学は学校で習わないと思いますが、力学、物理は習いますからね。
力学的に物体は重力下にある限りは重力が作用しますので、物体を支える「支点」と物体の「重心」位置のズレがあると回転モーメントが生じます。
やじろべえは重心と支点が重なった時に停止しますが、ズレると倒れます。
私たちの身体の関節も姿勢が悪いと、重心と支点のズレから関節に回転モーメントがたくさん発生してしまいます。
そうすると関節がズレる訳にはいかないので、靭帯や関節被膜などの組織が骨と骨がズレないように支えるのですが、それでも足りない時には「筋力」も使って支えます。
これらの関節がズレないように保つ時に生じる力をまとめて「関節モーメント」と言います。
力学的な良い姿勢を考える時には、各関節に起こる「関節モーメント」が少ない方が良いのです。
上は理想的な良い立位姿勢での関節モーメント図です。
見てお分かりのようにいくら良い姿勢でも関節モーメントは発生するので、ジッとしてると疲れはします。
とはいえ、やはり悪い姿勢よりは良い姿勢の方が疲れにくいのも確かです。
例えば悪い姿勢の代表である「猫背」の方は、頭を前に突き出すような姿勢を取りがちですが、頭の位置は横から姿勢を見た時に「肩の中心部分」と「耳の穴」が垂直線上に並ぶ時に
一番力学的な負担が少ないと言われていますが、その位置から7cm前にズレただけで頸椎7番に掛かる力学的な負担は「3倍」になると言われています。
さて、トレーナーさんや整体院の先生が「良い姿勢」という時は「ニュートラルポジション」という姿勢の事を指していると思って良いと思います。
ニュートラルポジションの言葉は、自動車のニュートラルギアから取ったという説が通説です。
マニュアル車で免許持っている方は分かると思いますが、ギアを前進、後進、どこに入れても停車する時にはニュートラルにしますよね?
なぜならニュートラルからは前進、後進、どちらにもすぐにギアが入るからです。
姿勢のニュートラルも前にも後ろにも、右にも左にも、偏り無い姿勢と思っていただいて結構です。
また、これは先に挙げた姿勢評価の6つの視点の全てにおいてもバランスの良い姿勢なのです。
一般的には「ニュートラルポジション」を確認する時には「ランドマーク」という身体部位の指標を使う事が多いです。
ネットで良い姿勢のチェック法を調べると大体がこれを書いています。
・外くるぶしの少し前
・膝中心の少し前
・股関節の大転子
・肩峰(または肩の中心)
・耳の穴
この5つのランドマークが垂直線上に並ぶと良い姿勢と言われています。
ですが、これは「ニュートラルポジション」のチェックのうちで「力学的な視点」の要素が大きいと思われます。
他の5つの視点を評価する事はこれだけでは出来ないので、専門家の中にはもっと細かいニュートラルポジションのチェック方法を行う人もいます。
それはどういう事かと言いますと、冒頭の良い姿勢でもジッとしていると疲れるの話も関係してきます。
「ニュートラルポジション」の事を、別名「ホームポジション」と呼ぶ事もあります。
パソコンのホームポジションって、そこを基準に指を動かしますよね?
ホームポジションが無いとキーの場所をいちいち目で確認しないといけませんね。
ホームポジションからどれくらい、どの方向へ離れているか?でキーの場所を判断してブラインドタッチを行っています。
なので、私たちも「ニュートラルポジション」
別名「ホームポジション」がしっかり分かる事は、止まって立っている時の姿勢の基準値を明確にしているだけの事なんです。
どんな時でもニュートラルポジションが良いという意味でチェックするのではありません。
あくまでニュートラルポジションを基準に様々な身体活動を行うと良いと言う話です。
具体的な例を出すと、姿勢評価の6つの基準に「作業効率的な視点」というのがありますが、例えば極端ですが手元を見るような細かい手仕事をしている時に「ニュートラルポジション」では作業が全く進まないと思いませんか?
違う例を出すと、ウエイトトレーニングなどでバーベルを持つと重りの位置によって重心が変わりますから、ニュートラルポジションでいるとかえって力学的に不利になってしまう事があります。
時々トレーナーさんなど専門家の方の中にも、バーベル持っている時も必ずニュートラルポジションを保つよう指導している方もいますが…それは非効率的な時もあります。
また、バーベル持って立っている時と、動いている時では関節モーメントは変化します。
動きの中では関節モーメントは刻一刻と止まる事無く変化します。
そのように「良い姿勢」というものは瞬間瞬間変わるもので、固定的なものでは無いのです。
とはいえ、基準という戻るべき場所が無いと困ってしまいます。
パソコンのブラインドタッチをしていて、急にホームポジションの場所が分からなくなったらキーが打てなくなっちゃいますよね?
その程度の物なのです。
一般に言われる良い姿勢、つまり「ニュートラルポジション」は静止している時のデフォルト姿勢なので、あくまで基準であり、その姿勢で固定する事が重要で無いというのが正しい理解だと思います。
ちょっと表現が難しかったですが…^^;分かっていただけましたでしょうか?
まぁ、もう少しかみ砕くと世間で「良い姿勢」と言われているものは、良い姿勢というよりは「姿勢の基準値」と思っていただくと良いかと思います。
今回のコラムは以上です。
長文になりましたが、最後までご覧になって頂きまして誠にありがとうございます!
参考になったという方は今後のコラム作成の励みになりますので「いいね」ボタンのご協力をお願い致します。
また、今回の話に出てきました「姿勢評価の6つの視点」の他の視点についても知りたいという方は、次回は違う姿勢評価の基準について説明しますので良かったらご覧ください!
参考文献
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