ブログBLOG
《健康は幸せになる為の一つの手段》*このコラムはおくがわ整体院限定メルマガ記事の転載です。
私の所属するトレーナー団体の一つ「JCCA(日本コアコンディショニング協会)」では「健康だから幸せなのではなく、健康は幸せになる為の手段の一つ」とわざわざ協会からトレーナー達に啓蒙しています。
皆さんからしたら「????」
「なぜわざわざ言うの?」という感じかも知れませんが、実はインストラクターやトレーナーの中には「健康こそが幸せの必須条件」と思ってしまってる人は多いです。
私が新宿御苑の某フィットネスクラブでジムエリアのリーダーを担当していた時に、スタッフが会員さんと会話していて「健康こそが幸せですよ」と結構平気で言っていた事もありました。
なんとなく正しく聞こえますが、正解とは言えないですよね…
それに、そんな事を言ったら病気の人に失礼ですよね…病気になっても幸せにはなれるので。
幸せな人生を歩む為に私たちは日々何かしらの活動をする訳ですが、健康ならばそういった活動がしやすくなると言う事は確かに言えると思います…
ですが、それが幸せとイコールではないと思います。
また、健康で身体に痛みや苦しみが少ない方が物事を前ポジティブに感じやすいというのはあると思います。
例えば、当院にお越しの年配の女性のお客様が「毎年、同期の友達で集まって旅行に行くんだけど、年々集まって相談するのが辛くなってきた」と仰ってました。
私がなぜですか?と伺うと「膝が痛くなってきてから、旅行に行く楽しさより、苦しさの方が勝ってきたから…実は家でゆっくりしていたい。」と言ってました。
こういう話はこの方だけでなく、沢山の年配の方から聞きます。
人間は身体(五感)を通して世界を体験しますから、ある程度は身体が健康の方が生活していて楽しいと感じる瞬間は多いと思います。
しかし、かといって不健康なのが必ずしも不幸だと言う訳ではありません。
とはいえ、今世間では結構「健康=幸せ」または「健康管理出来て無い人はダメ」という価値観が世の中の主流になっています。
《今の日本の健康観はアメリカのパクリ?》
こういう価値観は元々アメリカ人の価値観なんでしょうね。
アメリカでは健康管理が出来ていない人間は就職が不利とか、管理職になれないみたいな話をよく聞きます。
参考サイト
https://www.powerweb.co.jp/blog/entry/2022/04/01/100000
日本のフィットネス業界はアメリカで勉強した人たちが立ち上げた団体が多いので、トレーナー達もアメリカで流行った事を鵜呑みにし過ぎる傾向があります。
実際に私が所属しているもう一つのトレーナー団体「NSCA(全米ナショナルストレングス&コンディショング協会)」は、スポンサーはプロテインで有名な「ウィダー」で、歴代の理事長はアメリカで勉強してきた人が務めてます…
そこで色々と勉強したトレーナーは「筋肉しか勝たん!」「健康の為に死ねる!」となってしまう人が多いのも仕方が無いのかも知れません。
しかし、このような健康観が出来た背景には、アメリカの任意加入の民間健康保険制度の問題だったり、アメリカが世界一の「肥満大国」である事も関係しています。
参考記事「成人の40%以上、米国で蔓延する肥満との戦い」
https://forbesjapan.com/articles/detail/60448
つまりアメリカ人にとって健康管理は社会の危機と直結しているので、日本より強めに健康の大切さを社会が啓蒙しないといけない事も関係していると思います。
日本は国に守られた国民皆保険制度ですし、もともと肥満も少なく、長寿国家ですからアメリカほどにきつく健康について言わなくても良いと思いますけどね。
《昔の日本人の健康観は「養生訓」だった》
日本人にはかつて「養生訓」を基本とした健康観が根付いていました。
養生訓は貝原益軒という儒教学者が書いた江戸時代のベストセラーです。
これはアメリカ的な「身体を鍛え、いつまでも若々しく」を目指す、肉体の充実を求める物質的健康観とは異なり「自然との調和」や「己を見つめ自制する心を養う」ことの大切さを説き、心の充実を求める精神的健康観です。
以下に参考ページのリンクを紹介します。
養生訓:健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/yojokun.html
養生訓でも書いていますが、肉体的に健康になる事自体を目的にするのではなく、自分の人生を「悔いなく、楽しく、充実したもの」にする為に、肉体を鍛える…というより「整える」精神的健康観です。
つまり、肉体が健康である事自体が幸せではなく、肉体の健康を使って幸せを目指そうと言う健康観です。
《養生訓は食事のアドバイスもシンプル》
日本では最近は健康的な食事の実践法として「糖質制限」や「マクロビオティック」など色々とあります。
私は「糖質制限」の人達と仕事をしていた事もありますし、トレーナーの仲間でマクロビオティック実践している人も多いので、否定は全くしないのですが
それに執着し過ぎてる人を見ると「どうかなぁ?」と思う時はあります。
《本当に健康な人は、健康に執着しない?》
以前に定真理子先生という「糖質制限」の重要性を説いている、10冊以上著書がある有名な栄養の先生と仕事をしていました。
私が著書を出版した時に定先生が「奥川さんの出版記念パーティーしましょう!」と言ってくれました。
で、私の知り合いにソムリエがいるので、その人の経営しているワインバーを借りてパーティーをしようと提案したのですが
その提案を聞いた定先生のマネージャーには
「奥川さん!定は糖質制限してるのにワインバーでパーティーなんて!(ワインは糖質多いので)いい加減にして下さい!」
と激怒されてしまいました…
しかし、とうの定先生は「いいじゃない、奥川君の出版記念なんだし、めでたい席なんだから!」と素直に喜んでくれました。
結果マネージャーは来なかったのですが、定さんは来てくれてベロベロになるまで二人でワインを飲みましたね(笑)
まぁ、以前から一緒に実施したセミナーの後にワインをよく飲んでるのを知ってましたから、私も誘ったのですが…
普通はいくら糖質制限していても知り合いの出版パーティーなら
「まぁ、めでたい席だし、今日くらい良いか!」となると思いますがね…
定さんは本当にいつでも「元気溌剌!」で、前向きで気持ちの良い方でした!
対して、マネージャーさんも同じく糖質制限を実施していましたが…
いつも疲れていて、約束は守らないし、怒りやすいし、仕事中によく居眠りしていましたね。
余談が長くなりましたが、養生訓の食事に対するアドバイスはシンプルです。
・食べ過ぎない
・色々バランスよく食べる
・前に取った食事が消化してから次の食事を摂る
などです。
そもそも日本人には肥満が少なかったと言います、悲しい事にアメリカ的な食生活をマネした結果として肥満が増えてしまいました。
アメリカ人のフィットネスの専門家に日本の専門家が「ダイエットにはどんな食事が良いんだろうね?」と質問したら「何言ってるんだい!?日本食が一番良いに決まってるだろ?」と言われたという話はフィットネス界では有名な話です。
日本のフィットネス界は先に述べた事情から、アメリカで流行ってる事をそのままパクっちゃうケースが多いです。
大体マクロビオティックも創始者は日本人ですが、流行るきっかけになったのはアメリカでセレブが実践していたからですしね。
参考ページ
アメリカでは常識?世界のセレブも実践する「マクロビオティック食」の取り入れ方
https://www.excite.co.jp/news/article/Ignite_07163/
私はいつも思いますが、日本文化の良い部分をしっかり知った上で、アメリカなど、諸外国の文化の良い点を参考にしたら良いのになぁ…と。
メイドinアメリカを信用し過ぎてパクって、アメリカの悪い部分も結構マネしてますよね(笑)。
長文をここまで読んで頂きありがとうございます。
個人的には、養生訓的な健康観が日本人には合っているのではないか?と思っていますが、どんな健康観でもまあ良いかな?とも思っています。
大切なのは、マッチョでも、6パックでも、ガリガリでも、わがままボディでも、何でも良いのですが
身体が幸せにしてくれる訳ではなくて、身体は心が幸せを感じる手助けでしかないと知る事だと思います。