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ネットの常識は解剖学では非常識

本当に世間では全く解剖学的に、運動学的に間違っている事が「正しい事」のように広まっているケースが多いです。

 

私が10年くらい前から言っているのは、立位でのつま先の向きについて。

これは一般的な骨格を持つ人なら「やや外向き」になると言われています。

 

理由は簡単で、脛の骨は膝から足首に掛けて15度くらい外側に捻じれいてるのが一般的だからです。

 

つまり、膝を正面に向けて立つならつま先はやや外側に向くのが自然です。

 

しかし、一般的と書いたように時々成長期の立位姿勢や運動状況や日常動作の関係で脛の骨の捻じれの弱い人や、股関節の捻じれの弱い人、強い人がいます。

 

この股関節の捻じれである「前捻角」についてはようやく最近は大きなトレーナー団体でも、検査で調べる事を推奨するようになったので、youtubeでも「前捻角」の重要性を語る先生が増えてきました。

 

ちょっと脱線しましたが、脛の捻じれや股関節の捻じれが一般的な数値より離れている方。

そのような方はこの限りではない訳ですが、一般的にはやや外側を向くのが自然です。

歩く時のつま先の向きになる、足の「足角」も約7~10度外向きとなるのが一般的です。

 

これは私見でなく、ただの解剖学的な事実です。

ネットの記事やyoutube動画などは解剖学的な事実というより、私見が多いのです。

 

さて、このような「世間の常識が解剖学の非常識」のケースですが、探せばめちゃくちゃ見つかります。

 

もう何がそれに該当するのか?分からないくらいに多いのです。

なので、皆さんも「無意識下」で常識になっているものも多いと思いますから、間違った常識を「前提」に身体の使い方などを考えているケースも多く、それで身体を悪くしている人がたくさんいます。

 

前提条件が間違っているなら、その上に積み上げらえれる概念は大体全部間違いますからね…足し算の仕方を間違って覚えている人が難しい方程式を説けるわけないですよね?

 

しかも、現代社会は「知識」を「感覚」よりも頼りになるもの、とする傾向があるので、なかなか間違った知識だと気付かないでいる人も多いです。

 

間違った知識で運動して「効果が出ない」ならともかくとして…

「身体の調子が悪い」

酷い時は「身体が痛くなってきた」という状態にまでなっても、自分の知識を疑わない人が結構いらっしゃいます。

 

知識で無く、身体の声に少し耳を向ければそこまでならないと思いますが…

 

そういうケースがたくさんあるので、私は厳しい言葉なんですけど「ネットの健康の情報は話半分に信じた方が良い」と説明しています。

 

さて、先日はお客様に「youtube動画でどんな先生の動画を参考にしますか?」と伺うと「いいね!がたくさん付いているもの」「登録者が多い先生」という回答を伺いました。

 

しかし、とても残念ですけど…登録者数30万人以上の先生でも、業界では有名な詐欺同然のセミナーをやっている方はいらっしゃいます。

 

この先生はyoutubeで登録者が30万人いますが、なんと風で筋膜を緩める事が出来るそうです!

台風が本土に上陸したら、日本中の人の筋膜が緩みそうですね。

そうなると恐ろしいですね。

 もう一つ残念な情報として、業界で名実ともに認められた先生が動画配信する「ジャパンライムオンデマンド」という、専門家が月額費を払って視聴する有料チャンネルがあるのですが(私の師匠と尊敬する先生も講座を持ってます)

 

そこに出ている先生の中にはyoutubeで活躍している先生は一切いません。

多分皆さんは誰も知らないと思いますね。

 

今回はそのような「世間の常識は解剖学の非常識」の一つのケースを紹介します。

 

よく「前屈では身体を真っすぐにしたまま倒した方が良い」と言ってる方がいます。

つまり、ガラケーみたいな感じですね!

残念ながら、先日はインスタグラムで専門家の方までが発信してるのを見てしまいました。

 

私が知る限りでは、どの解剖学、運動学、の専門書にもそんな事は一切書いてない。

実際には真逆で、背骨を真っすぐで前屈するのは悪い前屈という事はどの専門書にも書いている事実なんです。

 

もう、この間違いを信じて身体を悪くしている人もたくさんいるので、今まではっきりと明言をしてこなかったのですが、デメリットの方が大きいと判断して今回のコラムではっきりと明言すると同時に「なぜ?身体に悪いか?」を説明します。

 

まず、いくらでも前屈する時に背中を丸めると書いている書籍は有りますが、手元にあったものを2つ紹介します。

 

ティーチングピラティスより

 

1,前屈を開始する為に骨盤が軽度後方移動し、股関節が屈曲し始める。

2,前屈するにつれて、腰椎の湾曲が減少し始める。

3,腰椎が平たんになるまで更に湾曲が減少し、され前屈する。

4,腰椎は平たん、股関節は約70~80度屈曲位、胸椎は伸ばされて緩やかなカーブを描いて動作が終了する。

 

 

筋骨格系のキネシオロジーより

 

脊柱の屈曲は、頸椎と腰椎の前弯を減少もしくは平たん化させ、胸椎後湾を増強させる。

 

ちなみに、丸まり過ぎるのも良くないのです。

一応基準があるのですが、手元にソース元の書籍が無いので、機会を改めて説明したいと思います。

 

背中真っすぐでの前屈が何故悪いか?

 

私はフィットネスクラブのイントラをしていた時期があるのですが、背中真っすぐの前屈はダンサーの人や、バレリーナの人が結構行っているケースが見受けられます。

 

エアロビクスのイントラって、元ダンサーや元バレリーナの人もいますからね。

結構背中真っすぐ前屈しているイントラいましたね。

 

大体が腰を痛めていました。

 

以下に背中真っすぐ前屈と自然な背中のカーブを描く前屈のイラストを載せますが

 

背中真っすぐ前屈は、腰の中でも一番ストレスが加わると言われる「腰椎5番」と頭の距離が前屈動作中とても離れています。

 対して、背中が自然なカーブを描く前屈では腰椎5番と頭の距離が前屈動作中に絶えず近くにあります。

 

頭の重さは約4~5kgありますので、みなさん真っすぐで曲がらない棒の先端に4~5kgのボールをくっつけて動かすのと

 適度なしなりのある棒の先端にくっつけて動かすのが、どちらの棒が折れにくいか?

 

そうなんです!適度にしなった棒の方が安全なんです。

 この記事を書いている時にもっと分かりやすい例えが思いつきました!釣り竿の例えです。

皆さんは釣りをしていて、魚がエサに食いついた時に、大きな魚だと釣り竿にしなりが無いと「折れる!」と思うんじゃないでしょうかね?

しなり自身が竿を守っているのもありますが、しなる竿は魚が重くなればなるほどにしなるから、竿全体の長さが短くなるのでテコが小さくて済みますよね?


と言う事で、直感的にも理解していただけるのではないか?と思います。


私は以前からこのような間違った知識が広まってしまう原因の一つは、同業者が「医学的根拠」「解剖学的事実」を後回しにして、先に「自論」「私見」を述べるからだと思っています。


順番を逆にしたら、こんな問題はそうそう起きないと思います。

「医学的にはこのように考えられているが、私の考えは…」と言えば良いのです。


その様に心がければ間違いは減りますし、そうしないと一般の方は判断基準が無いので、どの先生が科学的な事を言ってるのか?分かりません。


あとは、このようなblogもなるべく「参考文献」など提示するようにしていく事も大切だと思っています。

私も参考文献をなるべく出すように心がけています。






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